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ただの「解雇特区」案がまとまったが、攻め手のヒントも得られた

労働組合 有期雇用

経済界が本格的に進めたいと考えている労働の規制緩和の姿が明らかになってきた。

「国家戦略特区」の検討を進める有識者ワーキンググループが4日、明らかにしたところによれば、

  • 解雇のルールを明確化
  • 有期雇用の規制緩和

の2点をまとめてきた。

労働時間規制はとりあえず外されたが、これは次にとっておいたと表現した方が正しいだろう。

1 解雇ルールの明確化は、経済界の悲願

解雇特区」と名付けられた今回の構想だが、着想は何も新しいことではない。

解雇は、使用者が労働者に対して労働契約を打ち切ることを指すが、もちろん、労働者への影響は非常に大きく、大きなトラブルに発展しやすい。

裁判でも幾度となく争われ、「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」という考え方がほぼ確立している。つまり、解雇の理由についての立証責任は、会社側に課せられることになる。

労働契約法16条には、こうある。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

かつて、自民党は、2003年の労働基準法改悪案に「使用者は労働者を解雇できる」という文言を入れようとした。それに失敗すると、今度は今年春の参院選前に「解雇の金銭解決」を導入したいという情報を流し、その反発が大きいことを知るや、取りやめた。

彼らは、いつでも「合理性がなければ解雇できない」を「合理性があれば解雇できる」に変えたいと考えている。

同じように見える日本語だが、まるで異なる。

2 有期雇用を無期雇用に変えたくない

改訂された労働契約法では、有期雇用されている労働者が通算5年くり返し雇用されると無期雇用に転換するルールが盛り込まれている。

しかし、現実には、くり返し更新されて実態として無期雇用になっているケースも多いし、無期雇用になったところで労働条件は変更する必要はない。そして、無期雇用か有期雇用かによって、「合理性がなければ解雇できない」に違いはない。

それでも、経済界は、無期転換をおもしろくないと考えているようだ。

正直言って、この理由がまるで理解できない。

しかし、あえて彼らの立場に立って、何とかその理由を考えてみたいのだが、無期雇用であれば「解雇する」というべきところ、有期雇用であれば「更新しない」ということに変わるという点だ。

法廷などで争えば、さして変わらないのだが、一般的な感覚として「そういう契約なのだから仕方ない」と考えてしまう労働者の方が多いだろう。

しかし、そもそも使用者と労働者の契約は対等ではない。契約書を隅々まで読んで署名捺印することも一般的ではない。

まずは、生活。

それが、一般的な労働者の感覚だ。

不平等な立場では、労働者に契約を選ぶ自由はない。まして、失業すればホームレスまで真っ逆さまという日本社会では、この圧力はとても大きい。

労働者は「最初からこういう契約だから」に騙されてはいけない。生活がかかる不平等な契約に選択の自由はない。ここは、抵抗を示さなければいけないところだ。

弱点を攻めるのが定石

彼らがそう変えたいと考えているのであれば、それは彼らの弱点であることを示している。

自民党が政権に復活して、経済界もやりたい放題に見えるが、「合理性なく解雇できない」は、労働者にとって強力な突破口だ。

しかし、現実を考えたとき、ひとまず解雇され、生活費が途絶えたところで、一人で争うのは非常に勇気のいることだ。できれば避けたい事態でもある。

したがって、これまで多くの人が法廷で争って、勝ち得てきた成果を十分に活用し、一人ではなく労働組合に結集して、できるだけ勝てる確率を高めた上で勝負する方がいいだろう。

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