組織運営はまず目的を明確にせよ
人間社会に必要な組織。
会社、学校、家庭、町内会。そして、労働組合。
最近は、どうもトップダウンで決められ、構成員のモチベーションが下がっている現象が広がっているように思われる。参院選が違いが、投票率の低下がまさにそれを表している。労働組合の組織率も低下しているが、やはり同じような現象である。
今回は、それを改善するには、どうしたらよいかという提案である。
まず、組織は何のためにあるのか、それについて明確化することだ。ただし、間違って明確化している場合もあるので注意せねばなるまい。
労働組合は何のためにあるのか。
一般的には、組合員の労働条件の権利向上である。
では、組合員は賃金が高ければ、休みが多ければ、それで満足だろうか。いや、違うだろう。働くということは、生活の糧を得るということだけでなく、人間の本質上、みんなの役に立っているという満足感を得られることが必要だ。
この考えに立てば、組合員だけでなく、組合員ではない人にも目を向けなければならないはずなのだ。
わかりやすく例えよう。
会社に、清掃業者が入ってきて、建物を掃除してくれる。
そこで清掃している人がいなければ、会社の業務は成立しないはずだ。では、その人の労働条件について把握し、改善のために努力しようとしているだろうか。その人は労働組合に入れるだろうか。
残念ながら、今の日本の多くの労働組合は、そのことに無頓着である。
いや、それは少し正しくない表現だ。
今の日本の多くの労働組合員は、そのことに無頓着である。
労働組合というのは、一人ひとりの労働組合員の要求が、織りなされた総体として存在しなければならないのだから、まず、一人ひとりの組合員がそのことに目を向けなくてはならない。そして、組織全体として一人ひとりの組合員の要求をくみ取らなくてはならない。
いまはどうだろう。
問題意識を持っている役員は少なからずいる。しかし、労働組合の内部でもトップダウンではないだろうか。それでは、労働組合員のモチベーションは上がらない。
それは、組織の崩壊の序章である。
まず、労働組合とは、この社会の中でどのようなために存在しているのか、労働組合員一人ひとりがきちんと理解し、行動で示すことが第一であろう。そして、そのことを完全保証する組織形態であらねばならない。