派遣26業種は5年後に使い捨てか
労働者派遣は、基本的に違法である。
そう労基法6条に定められている。中間搾取は、労働者の労働条件を切り下げるだけでしかないからだ。労基法6条では、「法律に基づいて許される場合」だけ労働者派遣が許可される。
戦後、その労働者派遣が許可されていたのは、労働組合だった。
労働組合を「労働者協同組合」と考えれば、その理由がわかるだろう。労働者がカルテルを結んで、使用者に自分たちの労働力を有利に売り渡す。そういう状態を考えてもらいたい。
その後、労働者派遣法が誕生する。もともとは、専門的業務に限定されていた。どちらかといえば、「専門的技術者の出向」と考えればよかろう。
その後のことは、ご承知の通り、原則解禁となり、「一時的、臨時的な業務」「補助的作業」として門戸が開かれた。その性格上、直接雇用の代替とならないよう、原則1年、最大3年の受け入れ制限がある。
さて、「専門的技術者の出向」である派遣は政令で26業種が定められている。一時的・臨時的な業務ではなく、専門的技術者であるから、使用者に対する交渉力が大きいとされ、受け入れ制限期間はない。つまり、いつまでも派遣のままでもいいということだ。これは、所属する派遣会社からの出向と考えれば分かるとおり、そういう性格なのだ。
さて、26業種を具体的に見てみよう。
・ソフトウェア開発
・機械設計
・放送機器等操作
・放送番組等演出
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・貿易取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・建築物清掃
・建設設備運転、点検、整備
・案内・受付、駐車場管理等
・研究開発
・事業の実施体制の企画、立案
・書籍等の製作・編集
・広告デザイン
・インテリアコーディネーター
・アナウンサー
・OAインストラクション
・テレマーケティングの営業
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係
・放送番組等における大道具・小道具
さて、いかがだろう。
おやっと思うのは、報道関係が目につくことだ。派遣だけで番組が1本できそうだ。
たしかに通訳や貿易取引文書作成のように、かなり専門性の高い職種も見られる。しかし、事務用機器操作(簡単に言えば、パソコンの操作)はすでに専門性が高いとは言えない。ファイリング(文書・磁気テープなどの作成)にいたっては、いまとなっては何を指し示しているのかすらよくわからない。
もしも、これらが専門職の出向としての位置づけだというのなら、所属する派遣会社との雇用は、きちんと守られるべきだろう。これが、有期雇用であっては、元も子もなくなってしまう。
しかも、労働契約法の改定に伴い、有期雇用は不安定化する可能性がある。5年以上の更新可能性なし、雇い止め、解雇。こういった専門技術職が、5年たったら使い捨てられる可能性は十分にあるのだ。